10月の姫路:けんか祭り、お月見、旬の農産物

2025年の秋、姫路の郊外にあるいちご狩り農園で1か月ワークエクスチェンジをしました。姫路城と圓教寺、この2つの定番スポットに行っただけでなく、大小さまざまなお祭りにも参加して(秋は本当にどこでもお祭りです!)、旬の魚介や果物も食べまくりました。
姫路城:現存天守で最大規模、いちばん構造が複雑
日本に「現存天守」(江戸時代かそれ以前から残っていて、戦火や災害で壊れていない、もとの天守閣)は、いま12基しか残っていません。そのなかで国宝に指定されているのはたった5基で、姫路城、松本城、犬山城、彦根城、松江城です。姫路城は、そのうちの1つというだけでなく、規模が最大で、構造がいちばん複雑です。
かつては安く競売にかけられて、建材にするために取り壊されそうになりましたが、解体のコストが高すぎたおかげで難を逃れ、その後も戦火をまぬがれました。今私たちが見ている姿は、17世紀の初めに完成したもので、もう400年以上たっています。

現代建築の考え方で言うと、城の階と階のあいだの高さは吹き抜けのようで、まわりには数段の階段をのぼる小さなプラットフォームがあって、監視や防御のための設計になっています。階と階のあいだの階段には、床の方向に閉められる扉まであります。建物の構造や階段のような細かいところに、とくに興奮するタイプの人なら、姫路城で時間を忘れて歩き回れるかもしれません。同じ国宝の城の彦根城や犬山城とくらべても、姫路城の規模は本当に、まったくちがうレベルです。
- 入場料は1人2,500円、開館時間は9:00〜17:00。

書写山圓教寺:「西の比叡山」
圓教寺は966年に建てられた、天台宗の別格本山です。
比叡山との深いつながりから、「西の比叡山」と呼ばれています。地位も規模も関西でトップクラスで、観音巡礼「西国三十三所」の第27番札所でもあり、映画『ラスト サムライ』のロケ地にもなりました。
ロープウェイで山に登るときの景色から始まって、境内を散策したり、お寺の建物を見たりと、ゆっくり歩くのにぴったりです。私は平日の午後に行って、2時間過ごして、出会った人は50人にも満たず、とても静かな体験になりました。
- 拝観料500円/人、ロープウェイ往復は別途1,200円/人、開山時間 8:30〜18:00(冬季は17:00まで)
天台宗:平安時代の最澄が9世紀の初めに開いた宗派。中国の天台山が起源ですが、日本では「円・密・禅・戒」の四宗を合わせた独自の体系に発展しました。総本山は比叡山延暦寺です。現在の日本では、天台宗の信者数は浄土宗や真言宗にはおよびませんが、鎌倉新仏教(浄土宗、浄土真宗、禅宗、日蓮宗など)の開祖は、ほとんどが比叡山の出身です。そのため比叡山は、宗派をこえた「日本仏教の母山」とされていて、学術・文化・歴史のうえで、とても高い地位にあります。

灘のけんか祭り:数万人が詣でる「けんかの祭り」
松原八幡神社の秋季例大祭「灘のけんか祭り」は、毎年10/14〜15に開かれます。私が参加したなかで、いちばん大きなお祭りです。「けんか(喧嘩)」は、そのとおり「ぶつかり合い」の意味で、お祭りの中心は、神輿や屋台をかついで、お互いにぶつけあうことです。
1日目:宵宮
午前11時、7つの村の屋台が、それぞれの村から出発して巡行し、そのあと神社に集まります。午後の「練り合わせ」がその日のクライマックスです。まず神社の楼門の前の広場でぶつかりあって、村どうしが競い合い、威勢を見せます。次に神社の境内に移ってぶつかりあうのは、神さまにお見せする奉納の儀式で、団結と力をお供えとして捧げます。最後に広場で総練り合わせをするのが「気持ちいい!(?)」の大乱闘です。

この屋台は、作りが精巧で、芸術品のようで、値段も高いので、いわゆるぶつかり合いは、実は寸止めで本当には当たらない「紳士的なぶつかり合い」です。指揮者が笛を吹いて旗を上げ、2台の屋台に離れるよう合図します。ボクシングで、選手をコーナーに呼び戻すような感じです。ぶつかり合いを始める前には、2つの木片を打ちあわせて、澄んだ音を鳴らします。「よーい……よーい〜」という予告のようです。
*各村がかつぐ屋台(山車と訳されることもあります)は、神さまに芸を捧げる移動式の舞台で、中には神さまは乗らず、太鼓をたたいてリズムをとる4人が乗ります。この人たちは「乗り子(のりこ)」と呼ばれ、たいてい10〜15歳の男の子が務めます。村の未来と純粋さの象徴です。お祭りの間、足が地面につかないようにされ、ずっと誰かが抱えています。
神さまが乗るほうは「神輿(みこし)」といいます。
2日目:本宮、「本気で来る!」ぶつかり合い
朝6時に、海辺でお清めの儀式があり、6:20ごろに終わります。参加するのは、その日に神輿をかつぐ人たちです。神輿は屋台に似ていますが、より素朴で、中には本当に神さまがまつられています。応神天皇、神功皇后、比売大神の3柱で、3基の神輿(一之丸、二之丸、三之丸)があります。神輿のぶつかり合いは、本当に木くずが飛び散るほどぶつかります。

午前11時、神輿はまず神社前の広場と境内で、1回目のぶつかり合いをします。ここは会場が小さく、近くで見られて、かなりの迫力だそうです。
午後2時、行列は御旅山のふもとの練り場に移動して、2回目のぶつかり合いをします。この練り場は、巨大な階段のようにすごくて、実際に見ると、資料に書いてある「数万人が参加」が、大げさではないとわかります。
階段の上のピクニック形式の席は世襲制で、一般の観光客は、御旅山の山頂に立って遠くから眺めるしかありません。階段の観覧席いっぱいの人波もいっしょに視界に入れられるので、観光客にとっては、階段の観客も見どころです。

夕方4時ごろ、神輿と屋台がいっしょに御旅山をのぼります。最後の急な道のりは約400〜500メートルで、資料によると、神輿の重さは少なくとも300kg、屋台は2トンもあります。この最後の一区間は、かつぐ人にとって、体力の限界を試される試練です。
*お祭りには「練る」という専門の動詞があって、意味は「掛け声(たとえば「ヨーイヤサー」)を上げながら、リズミカルに神輿を揺らして、勢いよく大股で進むこと」です。かつぐ前の準備動作で、前後に揺らして力をためます。物理的に反動を利用する意味のほか、相手を挑発したり威嚇したりする意味もあります。
屋台の収納:にぎやかさの外にある、もうひとつの厳かさ
お祭りの期間中、たまたま神社の近くを通りかかったら、屋台を専用の倉庫(屋台蔵)にしまうところに出会えるかもしれません。全体の雰囲気は厳かで、丁寧だけれど、堅苦しくはありません。刺激的な瞬間ではないけれど、地元の人が伝統を大切にしていることが感じられます。
倉庫が大きくないので、屋台をそのまま入れることはできません。入れる前に、てっぺんの玉ねぎのような形の金属の飾り「擬宝珠」が外され、その下の木彫りの台「露盤」が、頭にのせられて階段をおろされるのが見られます。四隅に垂れ下がっている巨大な縄「伊達綱」も、ぴんと引っ張って固定されます。
擬宝珠(ぎぼし):屋台のいちばん先端の金属の飾り。
露盤(ろばん):擬宝珠の下にある、精巧な木彫りの台。たいてい、悪い竜を退治する場面、歴史上の豪傑、神話などが彫られていて、重さは20〜30kgあります。
伊達綱(だてづな):屋台の四隅に垂れ下がっている、ねじった巨大な縄。貴重な錦糸と金糸で作られていて、先には、たいてい華やかな金色の房がついています。村の財力の象徴であるとともに、きれいに勢いよく揺れているかどうかで、屋台がうまくかつげているかの判断にもなります。

お月見と陶器市:姫路城周辺の季節限定イベント
姫路城観月会(中秋の名月、旧暦の15日)は無料のイベントで、姫路城がライトアップされ、ステージのパフォーマンスもあります。芝生に、自分でピクニックできる場所を見つけて座ります。会場には地酒の屋台もあって、「プラスチックのカップ+3杯分のお酒」700円のセットを買いました。「自己申告」方式で、自分でカップを持って屋台に行ってお酒を注いでもらうと、屋台の人は、たいてい、なみなみに注いでくれます。日本の人が、保存容器を持ってお酒を入れてもらっているのも見かけて、明らかに準備万端でした。これは2025年の様子で、毎年同じかどうかはわかりません。

全国陶器市(11月上旬)は、姫路城の前の大手前公園の広場で開かれて、各県の「○○焼」が出店します。値段はとくに高くなくて、どちらかというと大衆向けで、小さな工房の作品は比較的少ないですが、各地の特色ある陶器を一度に見られるので、やっぱり回る価値があります。人出は多くて、ちょっと人でぎゅうぎゅうです。

姫路グルメ:旬の農産物
瀬戸内海の秋の魚
姫路は瀬戸内海に面していて、魚介が豊富です。私は全部、スーパー「ハローズ(Halows)」で買いました。
- マイワシ(真鰯):骨ごと食べられる小魚。日本で食べる小魚料理は、これが多いです。
- アカシタビラメ(赤舌ひらめ):目が片側に寄っていて、身が繊細です。甘辛く煮るだけで、とてもおいしいです。
- カマス:食感はティラピアに似ていますが、もう少しやわらかいです。体は細いのに、身は厚みがあります。
- バリ/アイゴ:皮がつるつるでうろこがないみたいです。背びれ、しりびれ、腹びれに毒のとげがあるので、扱うときは注意が必要です。
- サンマ:2025年は「十年に一度」の脂がのった当たり年と言われていて、フライパンで焼くだけで幸せです。
- シラサエビ:日本のスーパーで、新鮮で、頭つきで、まだ動いているエビを見かけるのはめずらしいです!
- ワタリガニ:安いだけでなく、本当においしくて、カニの代表としてぜひおすすめしたいです。日本海で食べた松葉ガニよりおいしいと感じました! 1,000円くらい(大きさによる)で、半額のときは泣きたいほど安いのに、それでも新鮮です。蒸すだけで甘くて新鮮で、身もたっぷりで、大満足です!

秋の果物と野菜
ブドウ:姫路がある兵庫の西部は、地理的に、買えるブドウがほとんど岡山産です(日本でいちばん生産量が多くて、いちばん有名なブドウの産地は、実は山梨です!)。5、6、7、8種類も食べましたが、いちばんおすすめなのは、どこでも見かける、独特の香りがある「シャインマスカット」です。ふつうは緑色ですが、農協のスーパー「JA兵庫西 旬彩蔵 書写」で、もっとうすい緑色、ピンクがかった紫のグラデーションが入った品種を買ったら、緑色のよりおいしくて、すごくふしぎでした!
たくさんの品種を食べたけれど、私は達人ではなくて、あまり印象がないので、みなさん自分で買って食べてみてください〜 だいたい、緑色のブドウはほとんど皮ごと食べられて、たいてい種なしです。
*私は、ほとんど「産地直送フルベジポ」という地元のお店で買いました。当時、10種類以上の品種が買えて、めちゃくちゃたくさんでした


- 柿:柿も秋の果物です。とくに道ばたには、柿がなった柿の木がとても多くて、よからぬ考えが浮かびます。でもあとで日本人に「自由にもいでいいよ〜」と言われたので、だれのものでもなさそうな柿の木のところで、もいで食べてみました。お金を出して買ったものと同じくらいおいしかったです!
いちばんよく見るのは富有柿で、筆柿もあります。筆柿は切ると、中がまるで傷んでいるように見える濃いオレンジ色をしていますが、これが普通です。柿を干している家を見かけたら、それはほとんど干し柿用の渋柿の品種(「美濃柿/渋柿」など)で、そのまま生では食べられません。農協のスーパーでも、たいていわざわざ注意書きがしてあります。


- 栗:日本でよく見る栗は大粒です。ときどき焼き栗の屋台に出会いますが、果肉にはりついた薄い渋皮が、ものすごくむきにくいです。日本の人は、皮ごと食べられるから、わざわざきれいにむかなくていいと言っていました。
まとめ
姫路城+圓教寺は絶対に行くべきです。駆け足なら、午前に1か所、午後に1か所(1か所につき2〜3時間)でも実はできますが、年寄りの私は、1日に1つの予定しか入れられません。
もし10月中旬に行くなら、「灘のけんか祭り」を見に行くことを強くおすすめします。交通もとても便利です。
秋は本当に食欲の秋で、旬の農産物をしっかり食べないと、自分に申し訳ないです。
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