日本でワーキングホリデーの1年:出発前の準備、お金のこと、あまり働かない暮らし方

2025年6月なかばから2026年6月なかばまで、日本でワーキングホリデーをして、まる1年しっかり滞在しました。
出発前の願いは、働きながらスキーを体験することくらい。あとは、やったことのないことを体験できそうなところに、移動があまり遠すぎなければ行ってみる、というつもりでした。
準備の流れについては、ネットにもう体験談がたくさんあります。この記事で伝えたいのは、実際の出費、働いた時間と遊んだ時間、いくつかの経験談です。行こうかまだ迷っている人(お金が心配な人)と、行くと決めたけど何から準備すればいいかわからない人に向けて書きます。
ワーホリは「休暇」なの?「仕事」なの?
ビザの趣旨は「休暇」がメインで、旅費の足しや生活費のためにアルバイトをしてもいい、というものです。
でも、私が読んだかぎりの日本ワーホリの体験談は、ほとんどが時間の8〜9割をアルバイトに使っていて、バイトの休みの日、2つのバイトの合間、最後に帰国する前になって、やっと旅行や体験をしています。
日本のアルバイトは、本当に日々の出費をまかなうのがやっとで、あまり貯金はできません。私がスキー場のホテルで働いた3か月半(12/20〜3/31)の収入を例にすると、こんな感じです。
- 時給は1,300円。税金(20.42%)と国民健康保険を引いて、月22日、1日8時間働いた計算だと、月給は台湾ドルで約36,000元、時給は約205元。台湾の今の最低時給196元とほぼ同じです。
- シフト制で、実際の労働時間はお客さんの数で変わります。3か月半の給料は、台湾ドルで8,000、33,000、22,000、16,000元でした。
- 寮は無料で、ありがたかったです。後半はお湯が出ないことが多くて、つらかったですが。

私にとっては、お金以外に得るものがなくて(スキーを覚える、日本語を練習する、友だちを作る、雪国の暮らしを体験する)、ただ生活費や旅費を稼ぐためだけに働くなら、割に合わないと思います。だから、ワーホリの1年間で、本当に収入のあるバイトをしたのはこの3か月半だけです。
「割に合わない」と思えること自体が、人によってはぜいたくなことだというのもよくわかっています。だから、台湾にいるうちに少しだけ多めに貯金しておくことをおすすめします(たくさんじゃなくて、ほんの少し)。日本で1、2か月、バイトだけの暮らしではない体験を試せる余裕が生まれます。
ホテルのバイト以外の時間は、ほとんど「ワークエクスチェンジ」で過ごしました。給料なしで、労働力と引き換えに宿泊させてもらう仕組みです。
実際のスケジュールと感想はこうです。
- ワークエクスチェンジは全部で7回。1か月が4回、3週間が1回、1週間が2回
- 週の平均労働時間は22時間。ただし、そのうち4割くらいは遊びや体験に近い内容で、体感では週12時間くらい
1か月は、ちょうどいい長さだと思います。仲良くなる前に別れるのは寂しいですし(「どうせすぐ離れるし」と思って、深く付き合わないままになってしまいます)、その後も連絡を取り合える関係を作るには十分です。有給バイトの週平均26時間とくらべると、ワークエクスチェンジの週22時間はほとんど同じくらいで、なのにお金は出ないので、気持ちのバランスが取れなく感じる人もいるかもしれません。私に言えるのは「得られたのは体験です」ということだけです。
ワークエクスチェンジの募集は、おもに「HelpX」というサイトで探しました。長所は年会費が安いこと(2年で約20ユーロ)、短所は選択肢が少ないことなので、絶対にどこかへ行きたいというこだわりがない人に向いています。似たサービスで、世界でいちばん利用者が多い Workaway は、選択肢が多い分、費用も高めです。

応募が通って、計画を立て始めたとき、私は何度も自分に「この旅で何を得たいんだろう」と聞きました。
答えは「やったことのないいろんなことを体験したい」でした。
料理や食材を試すのが好きなので、ブドウ、イチゴ、サツマイモをいろんな品種で食べたり、みんなで一品ずつ持ち寄ってごはんを食べたり、台湾料理を作って交流したりしました。日本人の家にお邪魔したり、住まわせてもらったりもして、普通の暮らしの中にこそ「本当の日本人」がいちばん見えると思っています。第二次世界大戦の歴史やビジネスモデルの話もしましたし、「日本人って、実は台湾のことそんなに好きじゃないでしょ」と聞いてみたりもしました。日本人だけでなく、行ったことがない、行こうと思ったこともない国から来た外国の友だちとも、交流したり、旅行したり、日本を探検したりしました。これがいちばんの収穫です。
日本語が足りないときはどうする?
私は日本語がN4くらい、あるいはN4に届かないレベルで出発しましたが、1年間で、言葉が足りなくて後悔した場面は、想像していたほど多くありませんでした。
- ワークエクスチェンジの環境は、言葉の間違いに寛容なことが多いです。 受け入れてくれるホストは、もともと外国人と付き合うのに慣れている人がほとんどなので、下手な日本語(と下手な英語)でも通じます。
- アルバイトは、求められる語学力が高くなります。 ただ、日本には外国人労働者が多くて、ワーホリの人を雇うのも普通なので、日本語がいらない仕事も少なくありません。その分、仕事の内容や選択肢は限られます(掃除、調理の下ごしらえ、農作業などが多いです)。そこは自分がどこまで受け入れられるか次第です。
- 簡単な日本語と翻訳アプリで、生活のほとんどはなんとかなります。 翻訳アプリをよく使ったのは、役所の手続きや病院のときです。雑談ではたまに使うくらいでした。全部わかるからではなく、翻訳アプリを通したおしゃべりは、実際はなかなか盛り上がらなくて、つっかえるからです。
- あまり話せないけれど、それでも親切にしてくれる人にも出会います。
この間、「もう少し日本語ができたらな」と思う場面もときどきありました。話し終わって部屋に戻ってから、悔しくて(?)、AIに言い方を聞いたりしていました。そういうのが勉強を続けるモチベーションになりました。1年たって、文法はたぶんまだN4のままですが、語彙はかなり増えました。リスニングもすごく上達して、聞こえるようにはなりました(わかるかどうかは別の話ですが)。話すことにも慣れて、簡単な文法だけでも怖くなくなりました。そして手書きの字は、ものすごく下手になりました。
とにかく、日本語に自信がなくても心配しなくて大丈夫です。日本に行けば自然に話す必要が出てくるので、少しずつ練習すればいいと思います。
荷物:バックパック1つで過ごすコツ
私の荷物は60リットルの登山用バックパックです。冬の前に一度台湾に帰って、そのときに機内持ち込みサイズのスーツケースを1つ足しました。あとで会った人たちの荷物は3〜5個もあって、びっくりしました。私は台湾でもかなりシンプルに暮らしているので、生活が不便だとはとくに感じませんでした。
振り返ってみると、「バックパック1つで通す」というのは、まったく問題なくできます。コツをいくつかまとめます。
- 持ち物リストを作って、1つずつ重さを量る。 正確な重さがつかめますし、何かを削るときもリストで順位を付けてくらべられるので、すぐ決められます。出発前のチェックリストにもなります。
- 「背負う重さは体重の3分の1以内」 というのは、登山をする友だちのアドバイスです。私は体重が約58kgなので、3分の1なら約19kgですが、実際に快適な上限は16kgくらいでした。背負って歩くのは問題ないけれど、椅子や地面から背負い上げるのは少しきつくなります。いちばん快適だったのは約13kgです。
- 消耗品は2〜3か月分を目安にする。 現地の商品をゆっくり調べて買う時間を作るのがポイントです。ただ、移動の頻度や個人の習慣にもよります。
- 服はタマネギ式の重ね着で。 似たような服で、夏から秋までの気温差をしのげます。ウールは抗菌・防臭になるのでおすすめですし、登山用の機能性ウェアも、軽くてすぐ乾いて、おしゃれなものもあります!
- おみやげは、感謝を伝えつつ台湾を知ってもらえて、とても便利です。 私はコーヒー豆と台湾茶を持っていきました。食べ物や飲み物はみんな喜んでくれますし、とくに台湾茶は地元らしさのあるもので、みんなにいれてあげられるし、話のきっかけにもなります。

バックパックの良いところと使ってみて
バックパックにするかスーツケースにするかは、完全に好みです。私は身軽に動けるのが好きで、急ぐときは階段を走れる(?)から。それに、大きなスーツケースを電車やバスで引きずって、ほかの人の迷惑になるのがとくにいやでした。
旅の後半、台湾に持ち帰るものが増えてきたら、軽いボストンバッグを1つ足して、機内持ち込みサイズのスーツケースの上に固定して、いっしょに引いて歩きました。こうするとバックパックが重くなりすぎません。飛行機で預けるときは、空港で IKEA の FRAKTA(約76リットル)にバックパックを入れて、そのすき間にボストンバッグの中身をぎゅっと詰めました。同じ容量のスーツケースより、たくさんの重さを入れられます。帰国のときは18kg以上を預けましたが、そのうちバックパックと IKEA の袋を合わせても1.5kgに満たないくらいです。

料理の道具たち
だいたい9割くらいの時間は、自炊をしていました。
道具は、16cmのステンレスの片手鍋(約400g)を買って持ち歩きました。ワークエクスチェンジや共用キッチンの鍋は状態がよくないことが多いですし、テフロン加工のフライパンも気になるからです。このサイズなら、汁麺、炒めもの、ホットケーキまで十分です。欠点は、目玉焼きがちょっと失敗しやすいことです。
フードポーチ(Pockeat、台湾の agooday の商品)も持っていきました。出かけるときにフルーツを入れたり、食べきれなかった食材を火を通して持ち出したりするのに便利です。マイ弁当箱は、環境しだいです。お皿やお椀の数が少なかったり、占領しにくかったりする場所では、あると助かります。
個人的なおすすめは、卵と塩昆布です。どんな食材とも仲良くしてくれる万能選手です。電子レンジを使いこなせるようになると、料理がぐっとラクになります。それから、肉体労働をしていると、本当に甘い飲み物が欲しくなります。台湾で一度もタピオカ系のお店に行かない人でも、我慢できなくなります……。


手続きのこと、いろいろなアドバイス
在留カード、国民年金、郵便局の口座といった手続きは、日本に着いたら、2〜3か月滞在できる場所を見つけて、できることを全部済ませておくのがおすすめです。書類の郵送は営業日がかかりますし、長いと1か月もかかるので、あとから移動が細切れになると、処理がすごく大変になります。
それから、マイナンバーカードは私は申請しませんでしたが、ほかの人の話だと、持っていると一部の手続きをオンラインで済ませられて、市役所に行ったり郵送したりする時間を省けるそうです。日本に着いたばかりで、まだ腰を落ち着けられる時間があるなら、いっしょに考えてみるといいと思います。あとで加入手続きや確定申告など、いろんな手続きがだいぶ楽になります。
国民健康保険については、私は有給のバイトを始める直前に、代行の人に言われて初めて加入が必要だと知りました。でも、市役所で住所登録をした2回とも、「保険に入りますか?」と聞かれて、まるで選べるかのようでした。実際は、国民健康保険への加入は義務です!(※バイト先が「社会保険」に入れてくれる場合は、加入しなくて大丈夫です。)
頻繁に移動する予定で、有給バイトをしていない期間が長いなら、旅行傷害保険を考えてもいいです。ただ、補償の上限は通常180日で、しかも労災(仕事中のけが)は補償されません。自分の予定に合うかどうかは、必ず先に保険の代理店に確認してください。
私は実際に一度、保険を使いました。虫に刺されて発疹ができ、クリニックに行ったのですが、国民健康保険に入っていなかったので全額自己負担でした(約4,000〜5,000円)。あとで代理店の指示どおりに診療明細を自分で用意して、医師に記入・押印してもらい、台湾に帰ってから請求しました。
この旅で、結局いくらかかった?(参考程度に)
実際の出費は台湾ドルで約26.4万元でした(11か月分だけで、途中で台湾に1か月近く帰っていた間の出費は含みません)。割合はこうなります。
- 食費 42%
- 宿泊 17%
- 娯楽 16%(おみやげ、入場料、温泉など、必須ではない出費を含む)
- 交通 15%
- 生活 9%(生活に必要な出費、医療を含む)
- 保険 2%

この数字は人によってまったく違いますが、参考にはなると思います。
- 労働時間(アルバイトとワークエクスチェンジの合計)は約1,010時間
- 宿泊を伴う旅行は約60日、日帰り旅行は少なくとも25回以上
おわりに
「私は、自分が選べるようになるものを積み上げているだろうか?」少し前、この記事の材料を少しずつまとめていたときに、張國洋さんのFacebookの投稿でこの一文を読んで、ワーホリの1年の過ごし方や選択にとても近いと、ふと感じました。
私はもう、失敗をたくさん試せる時間がある20代の若者ではありません。この旅では、新しいことを体験する以外にも、何か得るものがなければいけないと思っていました。自分が触れているいろんなことが、具体的に何を積み上げているのか、今でもうまく説明できません。でも、その収穫は、ふしぎなタイミングで、人と話すきっかけや、関係を深めるきっかけになりました。
そういうことを何度も体験して、こうした学びや好奇心、お金に換えられなくて、専門性としても積み上げられない、いろんな知識や経験には、意味があると確信しています。
年寄りみたいな言葉で締めくくると、「すべての巡り合わせは、最良の巡り合わせ」なことが、けっこうあるものです。
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